レビューが溜まったのでまとめ記事を書いていきます。
ミステリ多め、表現が気に入った作品多めです。
- 1.『蜜蜂と遠雷』恩田陸
- 2.『身分帳』佐木隆三
- 3.『熱源』川越 宗一
- 4.『旅屋おかえり』原田マハ
- 5.『暗幕のゲルニカ』原田マハ
- 6.『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延
- 7.『悪果』黒川博行
- 8.『屍人荘の殺人』今村昌弘
- 9.『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎
- 10.『#真相をお話しします』結城真一郎
1.『蜜蜂と遠雷』恩田陸
ピアノやクラシックに関して何も知識が無くても、その曲やコンテスタントがどう凄いのか、どんな印象を受けるのかを描くのが上手
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。
出典:Amazon
評価:★★★★★
2.『身分帳』佐木隆三
感情移入し過ぎてしまうと、もう続きが読みたくなくなります。
映画監督西川美和が惚れ込んで映画化権を取得した、
『復讐するは我にあり』で知られる佐木隆三渾身の人間ドラマ!
映画『すばらしき世界』(2021年2月公開)原案。
復刊にあたって、西川美和監督が書き下ろした解説を収録。人生の大半を獄中で過ごした前科10犯の男が、極寒の刑務所から満期で出所した。
身寄りのない無骨者が、人生を再スタートしようと東京に出て、職探しを始めるが、
世間のルールに従うことができず、衝突と挫折の連続に戸惑う。刑務所から出て歩き始めた自由な世界は、地獄か、あるいは。
伊藤整賞を受賞した傑作ノンフィクション・ノベル。出典:Amazon
評価:★★★★☆
3.『熱源』川越 宗一
アイヌ民族の衰退と戦争、学問と教育、ロシア・日本・アイヌそれぞれの視点から描かれていて、3つの映画を見たような濃い話
降りかかる理不尽は「文明」を名乗っていた。
開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。
出典:Amazon
評価:★★★★☆
4.『旅屋おかえり』原田マハ
小説で涙が出てきたのは久しいです。
あなたの旅、代行します! 売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった――。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
出典:Amazon
評価:★★★★★
5.『暗幕のゲルニカ』原田マハ
「時代」がリンクせず、「モノ」がリンクします。そこに小さな感動がありました。
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!
出典:Amazon
評価:★★★★★
6.『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延
各話に有名な文学作品が出てくるので、昔の文学作品が好きな方にはより楽しめるんじゃないかなと思います。
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋 「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。だが、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは栞子と奇妙な客人が織りなす、“古書と秘密”の物語である。
出典:Amazon
評価:★★★☆☆
7.『悪果』黒川博行
関西弁の使い方が上手いのでキャラクターが完成しており、全く違和感なく会話だけで進みます。
大阪府警今里署のマル暴担当刑事・堀内は、淇道会が賭場を開くという情報を掴み、開帳日当日、相棒の伊達らとともに現場に突入し、27名を現行犯逮捕した。取調べから明らかになった金の流れをネタに、業界誌編集長・坂辺を使って捕まった客を強請り始める。だが直後に坂辺が車にはねられ死亡。堀内の周辺には見知らぬヤクザがうろつき始める……。黒川博行のハードボイルドが結実した、警察小説の最高傑作!
出典:Amazon
評価:★★★★☆
8.『屍人荘の殺人』今村昌弘
「え?この展開でこんなミステリー作品になるの?」と体験してみたい方、おすすめです
神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通う探偵少女、剣崎比留子とともに曰くつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。合宿初日の夜、彼らは想像だにしなかった事態に遭遇し、宿泊先の紫湛荘に立て籠りを余儀なくされる。全員が死ぬか生きるかの極限状況のもと、映研の一人が密室で惨殺死体となって発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。――たった一時間半で世界は一変した。究極の絶望の淵で、探偵たちは生き残り謎を解き明かせるのか?! 予測不可能な奇想と破格の謎解きが見事に融合する、第27回鮎川哲也賞受賞作。
出典:Amazon
評価:★★★☆☆
9.『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎
5人の女性と付き合う男性を痛快に懲らしめる、という視点からも面白いですし、粗暴な女の粗暴ぶりが「そこまでしなくても」という気付けば男性側に気持ちが揺らいだりと楽しみ方が豊富
星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。ふたりのなんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー 。
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評価:★★★★☆
10.『#真相をお話しします』結城真一郎
本作品の面白いところは「具体的な事件が明言されないまま話が進む」こと
家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。
出典:Amazon
評価:★★★★☆
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