タイトル買いしてレビューするブログ

某私立大学文系博士課程在籍の本好き。投資ブログとして始めたまま、レビューブログになりました。


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小説

80分の記憶『博士の愛した数式』小川洋子、感想レビュー

自分の記憶で最も古いものはなんでしょうか。 私は幼少期にデパート屋上のミニ遊園地でクレーンゲームをした記憶です。そのデパート地下で買い物している母親を探し、100円をもらい屋上に上がり、クレーンゲームを失敗しては母親の下に向かうことを繰り返し…

1週間の死神審査『死神の精度』伊坂幸太郎、感想レビュー

霊的なものを信じるかと聞かれると 「信じたくない」 という答えにならない答えを出してしまいますが、死神は有りうると思ってしまいます。 ドッペルゲンガーと呼ばれる自分とそっくりな人が存在していて、自分のドッペルゲンガーと会うと死んでしまうという…

夏のホラー小説『リアル鬼ごっこ』山田悠介、感想レビュー

夏も後半戦に入りました。 暦の上では秋に入っていますが、これからは残暑と戦う後半戦です。 将来的に日本は四季じゃなく、二季になるというニュースが話題になっていましたが、今年は確かに春が短かったかもしれません。このままでは、秋が短くすぐ寒い冬…

東野圭吾作品No.1『赤い指』東野圭吾、感想レビュー

ミステリー好きとして東野圭吾作品を挙げると「浅い」と言われがちなほど世の中に浸透している作家。 昔、明石家さんまの芸名が「さんま」になった理由として、師匠から「さんまと聞いて、魚じゃなくお前が連想されるくらい有名になれ」というがあると嘘か誠…

斉藤和義コラボ作品『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎、感想レビュー

映画の主題歌というと、エンディングに流れるのでエンディングを観ずに帰る人にとってはそこまで重要ではないかもしれません。私は、そこまでエンディングソングを気にする質ではないんですが、映画のために作られた曲は何となく心に残ります。 昔のアニメソ…

連休初日に読みたい『告白』湊かなえ、感想ビュー

山の日から始まる連休に入りました。台風の影響があるとかないとかで遠出はあまりできないかもしれません。と言っても、遠出する予定もありませんが。 読書をするときに、隙間時間に読んでしまおうタイプと、がっつり時間を取って一気に読んでしまおうタイプ…

初めて泣いた小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾、感想レビュー

普段はkindleで電子書籍を読んでいる私が、本屋で本を購入するタイミングというものがあります。 それは、東野圭吾の新刊が出た時です。 東野圭吾さんは書店を守りたいということから電子書籍化をNGとしていました。そのため、海外で生活している時にどうし…

推し活をリアルに描いた芥川賞受賞作品『推し、燃ゆ』宇佐美りん、感想レビュー

ファンクラブに入るほど誰かを「推し」たことはありません。私は何かに情熱を注げる人を尊敬しますし、憧れます。何でもいいので、他人よりも語れるものを持っている人の目というのはいつも輝いているように思います。 私の場合は、お笑いがそれにあたるのか…

映画ブラット・トレイン原作『マリアビートル』伊坂幸太郎、感想レビュー

洋画か邦画かと言われると、圧倒的に邦画を観ます。洋画はどうも感情移入が難しく、字幕を読んでいるとストーリーは頭に入ってきますが映像が頭に入ってこないからです。また、顔の判別も付きづらく、「最終的に犯人はこいつだった」というようなどんでん返…

他殺か自殺か中学生による学校内裁判『ソロモンの偽証』宮部みゆき、感想レビュー

皆さんは裁判に参加した経験はありますか。 私はありません。 実際の裁判の様子は撮影が禁止だそうで、法廷画家と呼ばれる職種が生まれたのもその影響のようです。 最近、逆転裁判と言う弁護士が裁判で争って無罪を勝ち取るというテーマのゲームを、実際の弁…

緩い自己啓発本『夢をかなえるゾウ』水野敬也、感想レビュー

久しぶりに自己啓発本を手に取りました。落ち込むことがあったり、何か変えたいと考えるときに自己啓発本が目に入ります。今回は夏の途中ですのでまだ良いですが、寒い冬などに落ち込むと手が付けられません。 今回は、例のごとくkindle unlimitedで追加料金…

人に勧める映画No.1、小説『カラスの親指』道尾秀介、感想レビュー

たびたび私の中で話題になるのが、「映画を先に見るか、小説を先に読むか」問題。 ハリーポッターは映画を先に見てから原作を読むようになったので、登場人物が頭の中で完成してしまい、なかなか自分で想像することができませんでした。 このことにショック…

警察学校が舞台『教場』長岡弘樹、感想レビュー

警察をテーマにした小説、漫画、ドラマ、映画は多々あります。その中でもやはり一番多いのは刑事もの。殺人事件を扱う課の物語です。 以前、そうした殺人事件を追う刑事ばかりがテーマになっていない、地域の警察を主人公にした漫画を紹介しました。 toshito…

今更、半沢直樹『アルルカンと道化師』池井戸潤、感想レビュー

小説のドラマ化という存在を知らない子ども時代、ドラマはドラマ、映画は映画、小説は小説だと思っていました。 大人になり、本屋さんに行くようになり、帯を見ると「待望のドラマ化」という言葉が目立つように書かれていることに気付きます。このことから、…

話題小説『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成、感想レビュー

最近、大学図書館を非常によく利用します。この猛暑から逃れ、エアコン完備の図書館でのんびり読書するのに向いています。 また、食堂も安く美味しいので助かります。久々の学生気分を味わっています。 学生はみな楽しそうに食堂で昼食をとっていますが、そ…

三国志小説ならこれ『三国志』北方謙三、感想レビュー

歴史小説や時代劇というものをたまに見ます。歴史的な考察がしっかりしていて、勉強になる内容は好きです。 海外の歴史小説は文化背景が違うのであまりピンとこないので、読んだとしても自伝が多いです。幼い頃は漫画で描かれた自伝が好きでした。 その後、…

アガサクリスティ賞『そして、よみがえる世界』西式 豊、感想レビュー

連日の小説紹介ですが、「〇〇賞受賞」や「〇〇賞ノミネート」という作品が続いています。というのも、最近、近くの大学の図書館で外部利用申請をしました。 大学図書館は県立図書館と違って、新しい本が手に入りやすい気がします。利用者が少ないのもあるの…

がんノンフィクション『くもをさがす』西加奈子、感想レビュー

自分、もしくは周りに「がん」に関連する事象というものが起きている人は多いと思います。私もその一人です。 人はみな、自分が主人公だと思っていますし、『幽遊白書』の「おまえはまだ死なないと思っているのか」というセリフのように感じている部分はある…

このミステリーがすごい『爆弾』呉勝浩、感想レビュー

以前にも触れたかもしれませんが、大賞に選ばれる本は前評判が良いのでしょうか。それとも、本当に審査員の目に留まって大賞に選ばれるんでしょうか。 どうやって星の数ほどある本の中から面白い小説を見つけ出せるのか。もしかしたらハズレかもしれないと考…

これはヤラセか『君のクイズ』小川哲、感想レビュー

クイズ番組はやっているとついつい見てしまいます。幼少期にはそれほど興味が無く、どちらかというと回答者のリアクションを楽しんでいたように思います。 大人になると、自分の知識を確かめるためについつい自分も答えてしまいます。その延長でYouTubeでク…

昔話が現代で生まれていたら『むかしのはなし』三浦しをん、感想レビュー

昔話はお好きでしょうか。私は仕事柄、日本昔話のアニメを見たりすることがあります。また、桃太郎や浦島太郎と言った昔話を授業で扱うこともあります。 以前も書いたように思いますが、こうした昔話は現代に移るにつれ表現が柔らかくなっていると言います。…

メルヘン×ミステリ『アリス殺し』小林泰三、感想レビュー

桃太郎や浦島太郎といった昔話は実は今出版されているものよりも残酷だったという話はよく聞きますが、最近出版されている絵本は私が子供のころ読んでいた内容よりさらに表現が柔らかくなっているそうです。 表現が柔らかくなり、刺激を抑えられるならそれは…

俺は犯人じゃない!『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎、感想レビュー

小説の映画化は良く見ます。読んだ本を映像で見るのも好きですが、映像化された方が大衆向けになっていると言うか、分かりやすくなっています。 また、小説だと1冊読むのに数時間かかりますが、映画だと2時間前後で終わるので好きです。特に、東野圭吾の作品…

パニックコメディ小説『ドミノin上海』恩田陸、感想レビュー

小説を読む速さは人それぞれですが、速読のように地の文をすっ飛ばして読む時があります。会話文を上手に描き分けている作品では、誰が話しているか分かりやすいのでそれでも内容は理解できます。 また、展開が気になるので早く読み終わりたいという気持ちが…

夏こそホラー『親指さがし』山田悠介、感想レビュー

普段はめったにホラーを読まないし、映画でも見ません。 ただ、心霊現象を扱った番組はついつい見てしまいます。 一人暮らしが始まってからは怖いので見られなくなりました。 絶対に何もないと分かってはいるものの、心の奥底では信じているのかもしれません…

週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位!『方舟』夕木春央、感想レビュー

ミステリー好きの理由は何でしょうか。結論が分からないという点では、どの本も同じように思います。 私の個人的な意見になりますが、現実世界を離れた物語になってしまうと何でもありになってしまいます。その点でいえば、ミステリーは読者の世界観を守って…

おすすめ漫画9選~ジャンルばらばら、表現や台詞が良い漫画~

漫画のレビューも溜まってきたので先日の小説10選に続き、漫画のまとめもしていきたいと思います。 ミステリー好きが選ぶ漫画です。 1.ハコヅメ 2.BEASTARS 3. ヒナまつり 4.サマータイムレンダ 5.アオアシ 6.H2 7.それでも町は廻っている 8.女子高生…

おすすめ小説10選~ミステリ多め~

レビューが溜まったのでまとめ記事を書いていきます。 ミステリ多め、表現が気に入った作品多めです。 1.『蜜蜂と遠雷』恩田陸 2.『身分帳』佐木隆三 3.『熱源』川越 宗一 4.『旅屋おかえり』原田マハ 5.『暗幕のゲルニカ』原田マハ 6.『ビブリア古書…

違和感ミステリー、『#真相をお話しします』感想レビュー

本屋大賞と直木賞は買って損なし、という持論があります。 もちろん、そうだからこそ受賞しているんですが。 本屋大賞になってから初めてその本に触れ、「やっぱり本屋大賞に受賞する作品ってすごいな」と思います。が、ふと「この本を見出した本屋の人たち…

『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎、感想レビュー

小説を購入する時に、あらすじを見て判断することが多いです。文庫本で言うと、背表紙に書かれている文章がそれにあたります。 しかし、あらすじを読んで内容が把握できることは稀で、ピンとこないことも多いです。短い文章でいかに読者の心をつかみ、レジま…