小説を購入する時に、あらすじを見て判断することが多いです。文庫本で言うと、背表紙に書かれている文章がそれにあたります。
しかし、あらすじを読んで内容が把握できることは稀で、ピンとこないことも多いです。短い文章でいかに読者の心をつかみ、レジまで持っていかせることができるか、その数行の文章は非常に考えられているはずです。
タイトル買いもそうですが、こうしたあらすじ買いも楽しいです。
今日は、そんなあらすじと言うか紹介文で購入を決めた本を紹介します。
タイトル:バイバイ、ブラックバード
著者:伊坂幸太郎
星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。ふたりのなんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー 。
出典:Amazon
評価:★★★★☆
レビュー:
紹介文を読んでいかがでしょうか。
いわゆる「別れさせ屋」の話かと思えば、主人公は何かのバスに乗せられそうになっているし、5人と付き合ってたってどういうこと?という別の疑問もあり、混乱します。
じゃあ、読んでみるしかないと思い購入しました。
伊坂幸太郎は買って間違いない作家ですので、踏ん切りがつきました。
読んでみた感想は一言で言うと「紹介文の通り」でした。
紹介文の通りなんですが、「あのバス」が何なのか、この女性は誰なのか、という謎が少しずつ少しずつ膨れ上がり、最後まで一気読みしてしまいました。
この女性が男性を引っ張り、付き合っていた5人の女性一人一人と会い、別れ話をしていく。その一人一人との思い出や別れ方を詳述していくと言った、5つのストーリーから構成されています。5人の女性と付き合う男性を痛快に懲らしめる、という視点からも面白いですし、粗暴な女の粗暴ぶりが「そこまでしなくても」という気付けば男性側に気持ちが揺らいだりと楽しみ方が色々ありました。
現実世界にぎりぎり居そうだけど、居ないだろうという登場人物が伊坂幸太郎の作品にはよく出てきます。ぎりぎりファンタジーの世界を出ない感覚が非常に好きです。この表現方法が上手だなと思います。
理路整然とした小説から離れて、良くわからないけれど筋が通っている世界観に浸りたいという方におすすめです。
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