漫画やアニメで登場キャラクターの回想編というのが苦手です。
現在が既に決まっているので、過去にどんなことがあろうと「でも、現代だとこうなっているからな」となってしまうからです。
そのキャラクターをさらに際立たたせるためなんだと思いますが、現代でも知らない新しい展開を早く知りたいと思ってしまいます。
本日はそんな『蜜蜂と遠雷』の続編(過去編?)にあたる作品をレビューしたいと思います。
タイトル:祝祭と予感
著者:恩田陸
大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。 入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。全6編。
出典:Amazon
評価:★★☆☆☆
レビュー:
『蜜蜂と遠雷』で活躍した登場人物たちの過去編が詰まった全6話で構成されている本でした。
師匠との出会いやコンテスト審査員の裏話などがありました。
例えば、本編で離婚している登場人物の過去編での結婚話とか、本編で既に他界している人の奮闘記とか、「でも、現代は…」と冷めてしまいます。本作を読んでいてもそういうニュアンスの気持ちが芽生えてしまいました。
過去編として、本編のストーリー展開の枠組みを用いたスピンオフのようなものは好きなんですが、単純に「この人は過去こんなことがあったんですよ」という話に手が伸びません。
作品自体の表現力は相変わらず読み心地の良い作品でした。
先の分からない話よりも、本編で活躍した人たちの背景をもっと知りたいと言う方にはお勧めですが、先の分からないハラハラドキドキが好きな人には向いていない印象を持ちました。
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