タイトル買いしてレビューするブログ

某私立大学文系博士課程在籍の本好き。投資ブログとして始めたまま、レビューブログになりました。


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アガサクリスティ賞『そして、よみがえる世界』西式 豊、感想レビュー

連日の小説紹介ですが、「〇〇賞受賞」や「〇〇賞ノミネート」という作品が続いています。というのも、最近、近くの大学の図書館で外部利用申請をしました。

 

大学図書館は県立図書館と違って、新しい本が手に入りやすい気がします。利用者が少ないのもあるのかもしれませんが、大学生にとって図書館は本を借りるというより静かに勉強できるスペースという感じで、新しい本でも貸し出し中のものが少ない印象です。

 

そして、私が最近通いだした大学図書館本屋大賞ノミネート本棚と各賞受賞作品本棚、話題の本を集めたコーナーなど、かなり充実しています。わくわくしながら各賞受賞作品を読み漁っている今日この頃。

 

本日は、アガサクリスティ賞受賞作を紹介します。

 

タイトル:そして、よみがえる世界

著者:西式豊

 

出典:Amazon

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』に続く第12回アガサ・クリスティー賞受賞作 脊損の脳神経外科医の牧野は、医療テック企業役員の元指導医に依頼され、視覚を失った少女エリカへの視覚再建装置〈バーチャライト〉埋設を代理執刀する。脳内インプラントテレパス〉を用いたオペは成功したものの、彼女は黒い幻影に脅かされるようになる。

出典:Amazon

 

 

評価:★★★☆☆

 

レビュー:

SFミステリーと思いきや、ヒューマンドラマをテーマにした作品

 

構成としては、2030年代の話を前半で、2020年代の話を後半で進めていくといった運びです。2030年代では、VRの世界が発達しており、その世界で起こった事件の真相を追っていくと言った物語です。

 

主人公は、外科医をしていたところ事故に遭い、首から下が動かなくなります。しかし、2030年代の最新技術を用いて、脳波で動かせるロボットを操縦し、自分を介護しています。この世界観はなかなか面白い発想だなと思いました。

 

脳波さえ正常に動いていれば、寝たきりでももう一人の自分が自由に動くことができます。2030年という10年後の世界でそこまで発達するかという疑問もありますが、なかなかのSF世界が展開されています。

 

また、本作は事件パートに入るまでが長く、前半で脱落する人が多いんじゃないかなと思いました。とにかく、最新技術の世界を説明する部分が長く、SFや先端技術を全く知らない私にとって、何を言っているのか分からず苦労しました。

 

後書きで、アガサクリスティ賞審査員のコメントが載っているんですが、そこで「前半は無駄とも思えるが、後半の畳みかけが素晴らしい」というコメントが散見されていたので、あきらめずに読みました。

 

気付けば、最新技術がどうこうと言うよりも、確かにヒューマンドラマな展開となっていました。また、前半が本当にそこまで説明する必要があったのか、という感想にも納得しました。

 

読む人を選ぶ作品であることは間違いないなというのが読後感想です。

嫌いなものを先に食べてから美味しいものを食べる派の方におすすめの1冊です。

 

 

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