タイトル買いしてレビューするブログ

某私立大学文系博士課程在籍の本好き。投資ブログとして始めたまま、レビューブログになりました。


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がんノンフィクション『くもをさがす』西加奈子、感想レビュー

自分、もしくは周りに「がん」に関連する事象というものが起きている人は多いと思います。私もその一人です。

 

人はみな、自分が主人公だと思っていますし、『幽遊白書』の「おまえはまだ死なないと思っているのか」というセリフのように感じている部分はあるんじゃないでしょうか。

 

そんな中、「がん」というものが現実としてやってくると「え?本当?私でも?」という気持ちになります。

 

本日は、「がん」という帯の言葉を目にして手に取った本を紹介します。

 

タイトル:くもをさがす

著者:西加奈子

 

出典:Amazon

カナダでがんになった。
あなたに、これを読んでほしいと思った。

これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー
祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション

『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から寛解までの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。

出典:Amazon

 

 

評価:★★★☆☆

 

レビュー:

がんと診断された作家自らの日記と治療、そして治療を通じて得られた決意を語っていくノンフィクション。

 

西加奈子さんはテレビに出ているところを見たこともありますし、何となく作品は知っています。以前、『サラバ!』を読んだときに、「関西弁を上手に使う作家だな」「なんとなくノンフィクションっぽいな」と思っていましたが、作者紹介を読んで納得しました。と言うよりも、本作の帯に「初のノンフィクション」と書かれていて、『サラバ!』はノンフィクションじゃなかったのか、と驚きました。

 

そうした有名な人が、「がん」とか訃報を聞くと驚きます。なんとなく、テレビに出ている人はそうしたものと無縁に思えていました。しかし、自分が年を取るにつれ若い頃好きだった有名人たちも年を取り、病気にかかることも増えるでしょうし、これからそうした機会が増えていくのかもしれません。

 

それほど、現実の日記を小説と言う形に書き表すのが上手な人だなという読後感想です。まったくの嘘で仕上げたノンフィクションっぽい作品を書くことはいくらでも可能だと思いますが、やはり少しは自身の経験などが入ってくるもの。それを「もう一人の自分が客観的に見た時にどう表現するか」と考えながら書き始めて、日記がノンフィクション作品になる、というようなことがあとがきに書かれていました。

 

しかし、テーマと作風からか、私は読みづらさを感じました。ノンフィクションなら当然なので、言っても仕方ありませんが。

 

がんを宣告された一人の女性が、どのようなことを考え、どのように決意していくのか。ノンフィクションならではの何とも言えない現実感が良かったです。

 

遅かれ早かれ「がん」に向き合う人は、本人或いは周りの人を含めると多くいると思います。そうした方にもおすすめの1冊でした。

 

 

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