タイトル買いしてレビューするブログ

某私立大学文系博士課程在籍の本好き。投資ブログとして始めたまま、レビューブログになりました。


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『鹿の王3』上橋菜穂子、レビュー

年間100冊レビューを目指して読んでいた2021年の記事を公開しているところですが、今回で8冊目になります。4月で8冊目だとペースが遅いですが、ちくちく書いていきます。

 

出典:Amazon

攫われたユナを追い、火馬の民の族長・オーファンのもとに辿り着いたヴァン。オーファンは移住民に奪われた故郷を取り返すという野望を抱えていた。一方、岩塩鉱で生き残った男を追うホッサルは……!?

出典:Amazon

 

 

 

 

鹿の王の3巻目です。

 

話がややこしくなってきて、一つずつのエピソードは雰囲気が良いけれど、それぞれの繋がりが良く分からなくなってくる本でした。

 

その理由は、前作『鹿の王2』のレビューでも触れましたが、本作の世界(世界観ではなく、世界そのもの)は作者の上橋菜穂子さん自身が創作したものだからです。ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』や宮部みゆきの『ブレイブストーリー』のようなファンタジー作品では、「現実世界の人物が別の世界に入り込み、異世界を楽しむ」という内容が多いですが、本作はまさに異世界」が「異世界」ではない世界

 

toshitoshitoshichang.com

 

しかし、本作では読者にとって異世界でも、登場人物にとっては普通の世界として描かれています。知らない文化や聞いたことない単語が当たり前に飛び交っており、誰も「知らない、どういう意味だ?」と聞き役がいないことになります。

 

そうなると、一つ一つの創作語彙などは覚えるしかなく、一気読みしないと読み進めるのが大変です。どの国とどの国が敵対していて、どの国がどの国の支配下にあるのか、整理しながら読まないとついていくのが大変。

 

三国志みたいに何度も繰り返して読めば面白くなってくるのかも知れません。ストーリーはいよいよ、野生児ヴァンと秀才医師のホッサルの話がそれぞれ絡み合ってくるところで、1巻目から読んできた人たちが絡み合う話はわくわくする。特に、どちら視点で自分は読めばいいかを考えながら読むと面白い。

 

表現方法は柔らかく、読みやすい作品でした。創作世界のファンタジーですので、ある意味現実逃避できる良い作品だなと思います。