タイトル買いしてレビューするブログ

某私立大学文系博士課程在籍の本好き。投資ブログとして始めたまま、レビューブログになりました。


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『ヒポクラテスの悔恨』中山七里、レビュー

出典:Amazon

 

これから一人だけ誰かを殺す。自然死にしか見えないかたちで――。
斯界の権威・光崎に宛てた犯行予告。悪意に潜む因縁とは!?

斯界の権威・浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授がテレビ番組に出演した。日本の司法解剖の問題点を厳しく指摘し、「世の中の問題の九割はカネで解決できる」と言い放つ。
翌朝、放送局のホームページに『親愛なる光崎教授殿』で始まる奇妙な書き込みが。それは、自然死に見せかけた殺人の犯行予告だった。
早速、埼玉県警捜査一課の古手川刑事とともに管内の異状死体を調べることになった助教の栂野真琴は、メスを握る光崎がこれまでにない言動を見せたことに驚く。
光崎は犯人を知っているのか!? やがて浮かび上がる哀しき“過ち”とは……? 
死者の声なき声を聞く法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズ、慟哭の第4弾!

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私は小説と言えばミステリーだと、ミステリーばかりを読む時期が不定期で訪れます。最近、中山七里という作家のミステリーが面白いと耳にする機会がありました。県立図書館に行って探してみると、本棚にたくさん並んでいてわくわくしました。自分の読んだことのない作品がまだこんなにあるんだと分かった時は興奮します。

 

何も前情報が無いまま目立つ位置にあった『ヒポクラテスの悔恨』と言う本を手に取ってみました。ストーリーは死体を解剖することで事件の真相を明らかにするというもの。似たテーマのドラマがありましたね。

 

本作品は事故、自然死、病気と言った事件性のない死体を解剖していくことで実は事件であり、犯人がいたという短い話5つで構成されています。いずれも殺人事件の犯人を明らかにするというよりも、事の真相を明らかにするためという進行が一般的なミステリーと一線を画す点だという感想でした。

 

書きすぎるとネタバレになってしまうので表現が難しいですが、最終的に明らかになる真相や犯人の動機などは捻られているなと感じました。しかし、一方で話の展開が予想しやすいとも思いました。ミステリー作品として、最後まで展開が読めずにいわゆる「どんでん返し」が好きなんですが、本作品はきれいな流れで大方の予想通りに展開されます。ある意味で上手なミステリーなんだと思いますが、そこに好き嫌いが分かれるんじゃないかと思いました。

 

チェーホフの銃」という小説の掟があります。小説内に登場した銃は必ず発砲されなければならない、というルールです。そういう視点で、「なぜわざわざこの用語をここで使ったんだろう」と疑問を持ちながら読み進めていけば、答え合わせができるという流れが非常に読みやすかったです。

 

ただ、読みながら「過去の事件」「2年前の話」と色々と回想に入りそうな表現がありながらも全然回想しない書き方が多く、疑問に思っても小説内で答え合わせができませんでした。しかし、読了後に答え合わせができました。この作品、シリーズの第4巻でした。道理で過去作がある雰囲気が随所に見られたわけです。1巻から3巻も読みたいと思います。