株式の売買が頻繁に行う必要がなくなってきたので、隙間時間に小説レビューをしていきます。
記念すべき1冊目は三浦しをんさんの『神去なあなあ夜話 神去なあなあシリーズ』です。いきなり、シリーズ物の続編を紹介するのもいかがなものかと思いましたが、2021年に読んだ本をまとめたファイルから引用しているので仕方ありません。
さて、三浦しをんさんと言えば、『船を編む』や『風が強く吹いている』などが映画やアニメになって話題になりましたね。読後感がすごくすっきりしていて、優しい雰囲気が漂う読みやすい作品が多い印象です。
今回の『神去なあなあ夜話 神去なあなあシリーズ』は三重県の山奥にある村に来た青年が林業の修行につきながら不思議な体験をしていくというお話です。これを聞くだけで、わくわくしてきますね。
この作品はこの主人公の青年が書いている日記ということでモノローグ形式で話が進んでいるので、地の文まで楽しめるような進め方が採られています。こうしたモノローグ作品は、恋の行方なんかを描くときに、自分以外の登場人物の心の声が一切表現されないので、読んでいる自分もドキドキしながら読み進められます。この作品も恋愛要素があります。
ただ単に、主人公の目線で話を追っているだけであればそれは本当にただの日記になるんですが、小説という作品に昇華させる描写として、相手の目の動きや行動で「こう思っているのかも」という想像を働かせるこ心理描写が挙げられます。
普段、自分が人と話しているときに目線やさりげない仕草などから「こう思っているのかも」と考えることはあってもそれは一瞬の出来事で、それを文章にする、しかも実際に起こったことではないことを描くのは本当に上手だと思います。
話の内容は、田舎の林業に携わる都会っ子が村に馴染んでいく話。短編集で、一つ一つは一見ばらばらでも、少しずつ時間が過ぎていて、最終的に話が一つになっていくパターンです。突拍子もない話はなく、田舎の昔話や言い伝え、風習が上手く話に繋がっていて、三浦しをんらしい読みやすい作品でした。